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コンタクトチャネル多様化と債権回収業務DX推進 - Natic | Application Modernization Platform – 日商エレクトロニクス

コンタクトチャネル多様化と債権回収業務DX推進

債権管理業務のチャネルミックス戦略

本記事で紹介したいこと:

20年ほど前まではクレジットカード会員様へのコンタクトチャネルとしては「文書」「電話」「対面」の3つが主流でした。
それから世の中のIT化が進み、デジタル化社会となり、今や連絡チャネルの多様化が進んでいます。

特に、債権回収業務はお客様と連絡が取れるか取れないかで大きく回収率に影響するので、お客様とのコンタクトチャネルにつきまして最新の状況をご紹介したいと思います。

目次 Table of Contents

  1. 従来の方法ではなかなか連絡が取りづらくなってきている
  2. 世の中のデジタル化と新しいチャネルの登場
  3. 債権回収業務のチャネルミックス戦略
  4. まとめ

1. 従来の方法ではなかなか連絡が取りづらくなってきている

従来からのチャネルである「文書」「電話」「対面」ですが、これらのチャネルだけではお客様との連絡が年々取りづらくなっているとの声をお聞きします

従来のコンタクトチャネル
まず「文書」ですが、コスト削減からWeb明細への誘導があると同時に、文書送付の可否もお客様側で選択できるようになったことにより、「文書」自体の発送を控えるケースが多くなりました。
もちろん催告書や法的な手続き関連の書類の送付は行われていますが、初期段階の延滞では以前のような一律で圧着ハガキを送付するようなことはコスト面からやめている会社様もいらっしゃいます。

次に「電話」ですが、固定電話から携帯電話の比率が高まったことによりお客様本人への着信率は上がりました。しかし、業法による規制などもあり、頻度や時間帯には十分な配慮が必要なことと、架電オペレーターの圧倒的な不足と人件費が高騰していることにより、これ以上の架電対象を増やすことはかなり厳しく、債権回収業務にかかわらず、与信や不正利用疑いの本人確認など、人による架電が必要な業務はかなりひっ迫した状況になっています。

最後の「対面」ですが、流通系カード会社様の顧客カウンターや、消費者金融系会社様の有人支店などはコスト面からほとんどなくなりました。
また、中長期延滞者の訪問回収や実地調査もサービサーや調査専門会社に委託するケースがほとんどです。

2. 世の中のデジタル化と新しいチャネルの登場

では代わりに登場してきたコンタクトチャネルはどういった内容でしょうか。
「文書」の代わりには「メール」や「Web」、「人による架電」の代わりには「SMS」や「IVR」、そして最近では「SNS」の活用も検討されています。

まずは「Web」です。明細書のWeb閲覧はかなり前から行われていますが、債権回収にも使われるケースが出てきました。

「メール」や「SMS」にURLを記載し、Myページなどで入金案内を閲覧してもらう方法です。最近ではさらに進化して「SMS」によりスマホ自体にバーコードを表示させ、そのままコンビニなどでスマホ画面を提示して支払えるサービスをNTTインターネット様が始めています。

バーコード決済

「電話」の領域でも「アウトバンドIVR」という手法を使われる会社様が増えてきています。これは音声応答で発信し入金案内を行うだけではなく、お客様に入金日を入力していただくことにより、オペレーターが入金約束を取るのと同じような処理が可能になります。
SMS発信やIVR発信につきましては電話放送局様がサービスを提供していますので、まだご利用されていない会社様はぜひご確認ください。

最後に「SNS」の活用です。特にスマホや携帯利用者の8割以上が利用している「LINE」を債権回収に活用する試みが始まっています。

LINE連携

いきなりLINEを送るのは難しいので、まずはSMSやIVRからの誘導が必要ですが、沖電気工業様のソリューションでは、電話番号情報からLINEアカウントを探してメッセージ送信でき、必要に応じてLINE無料通話に引き継ぐ機能があります。将来的にはLINE内で入金案内業務を完結させることが可能になるのではないかと思われます。

3. 債権回収業務のチャネルミックス戦略

債権回収のデジタル化は日々進化する一方で、デジタル対応したお客様の入金約束の履行率はどうしても人的架電に比べて落ちる傾向があります。
センシティブな業務である債権回収は、経験者のノウハウにより回収率に大きく差が出ると言われています。

これからのコンタクトチャネル

一律にデジタル化を進めるのではなく、回収難易度別の債権分類をしっかりと行い、難易度の高いお客様には早期から人的架電を行うなど、回収率と費用対効果から回収効率を見極めた上でチャネルミックス戦略を立てていく必要があります。

最近では属性や過去の利用状況、延滞状況の履歴を活用したデータマイニングや、ルールからのスコアリングをもとに債権分類を行い、手法やチャネルの決定を自動的に判断するシステムを構築されているカード会社様も増えていらっしゃいます。

4. まとめ

私が債権回収業務に携わっていた30年前は、「回収はスピードとタイミングと頻度、そしてお客様の支払い根拠」と言われていました。
今でもこれは変わっていないかと思いますが、キャッシュレス化による少額債権の増加やオペレーター不足などにより、コスト的に一律の対応が難しくなってきています。
債権回収業務のDX化は喫緊の課題であり、その中でもチャネルミックスによる回収効率の向上は効果が期待できます。

日商エレクトロニクスが提供するACC(延滞債権管理総合システム)は各チャネルとの連携はもちろん、きめ細かな債権分類も可能となっています。
ぜひこの機会に債権回収業務のDX化をご検討いただけたら幸いです。

最後に、債権管理を行うための当社およびパートナーのソリューションをご紹介します。
債権管理総合システム「ACC」はこちら
電話放送局「IVRシステム」はこちら


記事担当者::アプリケーション営業部一課 笠原 英司
投稿日:2023/12/14

著者プロフィール:

流通系クレジットカード会社の業務センターおよび情報システム部門に従事した後、 クレジットカード事業者向けASPベンダーで新規カードビジネスの立ち上げや外資系ITベンダーで決済ビジネスの支援、 決済系プロセシング会社では事業責任者としてクレジットカード業務専門のBPO事業を推進。

2022年に日商エレクトロニクスに入社、クレジットカード関連の社内外のコンサルティングに従事中。