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データで語る営業活動!BIツールでダッシュボードを作ろう - Natic | Application Modernization Platform – 日商エレクトロニクス

データで語る営業活動!BIツールでダッシュボードを作ろう

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営業企画・営業統括部門に所属されている方から営業拠点・部署の実績を集計、経営報告や管理職・担当者ごとに進捗状況を見やすくデータ加工する、といった骨の折れるような作業を効率化したいというご相談を受ける機会が度々あります。特にExcel等の表計算ソフトを利用しているというケースが多く、レコード数が大量でファイルが重い、閲覧者が深掘り下げて分析できないなど、時間効率や利便性の面でも苦労されているようです。一方、これらの課題解決のためBIツール導入が決定したけれども、担当者が自前で構築することを求められ、プロジェクトが進まないという企業様もいらっしゃるようです。
そこで、今回の記事では、BIツールによるダッシュボード構築の流れを、金融機関のリテール営業(住宅ローン)における利用を想定しながらご紹介します

まずは社内で考え方のギャップを埋める

BIツール導入を検討していると「Excelのグラフを作るようなものだから、ダッシュボードを自前で作れ」と上司の方から指示を受けたご経験はありませんか?確かに表計算ソフトで情報共有していたものをBIツールのダッシュボードに置き換えるだけであれば、業務経験とBIツールの操作方法が分かればできてしまいそうに思えることも理解ができます。また、Webで検索すれば、レイアウトの整ったデザインやテンプレートを簡単に探せるので、専門家が構築したようなものが出来上がることも事実です。ただし、ダッシュボード構築にあたっては、作成者が見せたい集計値やグラフを並べれば完成という訳にはいきません。見た目が綺麗でも「現場ニーズに合っていない」、「営業のアクションにつなげられない」、「使い方が分からない」などの理由から、現場展開からしばらくして閲覧されなくなってしまう可能性が高くなってしまいます。

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そのような事態を防ぐため、日商エレクトロニクスでは上図のフローにそってダッシュボード構築を進めていますので、以降は各フェーズの概要を順番にご説明していきます。

①要求定義/要件定義

要求定義/要件定義フェーズは、ダッシュボード構築で最も重要なフェーズと言っても過言ではありません。ここでは、現状の問題・課題を確認し、ダッシュボードの目的と実現したい/解決したいことを利用する現場の方も交えて集中的に議論します。要求定義/要件定義フェーズは、ダッシュボード構築で最も重要なフェーズと言っても過言ではありません。ここでは、現状の問題・課題を確認し、ダッシュボードの目的と実現したい/解決したいことを利用する現場の方も交えて集中的に議論します。そして、営業プロセス(パイプライン)の整理を行い、KGIがどのような行動・活動(KPI)によって積み上げられているのかをツリー構造にまとめることでビジネス構造を可視化していきます。その際に、KPI管理の意味合いが強くなり過ぎてしまい、目標値との乖離を問い詰める目的にのみ使われてしまうことにならないように注意しましょう。例えば、ある事象が発生した場合に、経営・営業企画・支店などセクションごとに打てる施策・アクションを具体的に想定・整理しておくことも解決策の一つになるかもしれません。以下に、業務理解に向けたヒアリングの一部とKGI/KPIツリーをご紹介します。

■業務理解に向けたヒアリングシート(一部)

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住宅ローン申込の流れを大きく分けると、住宅購入の流れの中でお客様が住宅関連事業者(不動産会社・ハウスメーカー等)に相談するケースと、お客様が金融機関に直接相談されるケースの2パターンがあります。それぞれのパターンで施策や活動内容が異なるため、本部と現場の両方からヒアリングを行い、同時に分析に活用できるデータの所在や課題感を整理します。

■KGI/KPIツリー

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業務ヒアリングの結果からKGI/KPIをツリー構造で表現することにより、ダッシュボード上で表示する数値に関して各部署と合意形成がしやすくなります。ここでのポイントは、KGIは自社の事業活動・施策のみで作られるものではなく、外部要因が影響することを忘れずに加味して作成しましょう。住宅ローンの場合であれば、競合他社との金利差、住宅着工件数、地域の経済動向などが外部要因として挙げられます。

②ダッシュボード設計

次に、要求定義/要件定義の内容に基づいてダッシュボードを設計していきます。現場での分析シーンを具体的に想定して、ワイヤーフレームやモックアップ等によりイメージと相違がないかを確認しながら設計書としてドキュメントを作成していきます。下図のように、課題・事象が発生した場合に要因を把握するためにどのデータを見るか、何を比較するかなどを過去の経験から書き出して整理していきます。例えば、「既存取引先からの申込件数が対前月で減少した」という事象が発生したとします。すると、その要因を分析するために「事前審査・案件相談数も減少しているか?」を調べ、次に「全社的な傾向、エリア・支店・取引先ごとに差があるか?」「商品別で見た場合に大きな違いがあるか?」と切り口を変えて分析を進めて、最終的に打ち手を検討するという現場での分析の流れを言語化できます。そして、この工程を行うことで、ダッシュボード上に配置する数値・グラフの順番やフィルタ機能などの使いやすいUI設計に繋がります。

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③データ準備

BIツールに連携するデータの準備を行います。下図は一般的なデータ処理の流れです。各所に存在するデータをDWH(データウェアハウス)に集約し、予め定義したダッシュボード用データ項目に統合・加工してデータマートを作成してBIツールに連携します。

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データ準備フェーズでは、BIツールに連携するデータ項目の定義、集計処理をDWHとBIツールのどちらの機能を利用するか、データ連携するタイミングなども決定していきます。なお、要求定義/要件定義フェーズにおいて業務プロセスと同時に利用可能データの確認・理解が不十分だった場合、データ準備ができず設計書通りにダッシュボードを構築できないという事態を招くため、可能であれば早い段階からデータエンジニアもプロジェクトメンバーに加えておくことをお勧めします。

④ダッシュボード構築

BIツール側の機能を使いダッシュボードの作り込みを行っていきます。デザインの基本となる配色ルール(基本色、背景色、アクセント色)・文字ポイント数・レイアウト等の決定、設計フェーズで決定したグラフ・フィルター・デフォルト期間・データ更新頻度等に則って作成、各集計値の関数(計算式)の整合性の検証も行います。下図は、営業活動の可視化ダッシュボードの一例です。

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⑤運用・改善

最後は、運用・改善フェーズです。構築したダッシュボードをいきなり全社展開することはしません。まずは、現場ヒアリングに協力していただいたチームを優先してテスト展開を始めます。そして、ダッシュボード導入の目的・業務での活用方法を説明・理解していただいたうえで、3か月間ほどテスト運用を行います。その間もテスト協力チームと定例ミーティング等を実施して現場の肌感覚を含めた定性面の情報やデータ活用による改善状況等をヒアリングします。そして、ダッシュボードの閲覧状況等もモニタリングを実施し、最終的に全社展開の可否を評価します。

まとめ

今回の記事では、金融機関における住宅ローン営業を題材にして、ダッシュボード構築によるデータ活用の進め方の概要のみをご紹介させていただきました。これだけを読むとダッシュボード構築は非常に簡単そうに映るかもしれませんが、実際のプロジェクトにおいてはビジネス知識、課題解決につなげるヒアリング力や思考力、データベース知識、データ分析、デザイン、BI構築技術など、多くの経験・知識・技術が必要になります。「使われないダッシュボード」を作らないためにも、ダッシュボード構築によるデータ活用を検討されている場合は、業務ヒアリングからAs-Is/To-Beのご提案までを無償対応している日商エレクトロニクスにお気軽にご相談ください。貴社のデータ活用をスモールスタートから始められるよう、データサイエンティストと業務スペシャリストが伴走支援いたします。

著者プロフィール

木村隆二

アプリケーション事業推進部
ビジネスデザイン課 木村隆二

非対面決済プラットフォーム企業においてネット保険商品への導入支援を経験した後、損害保険会社で営業企画、商品・サービス企画、CX推進、他損保との業務提携等を経験。
前職では大手モーゲージバンクのデジタル営業推進の責任者として従事、2022年に日商エレクトロニクスに入社。
趣味は、トレイルランニング。